第3回 転倒予防

今回は、少し専門的なお話をしたいと思います。
先日、講習会に参加してきました。この講座の中で、筑波大学講師の先生がお話しされていた内容に大変感銘を受けました。「科学的根拠に基づく高齢者の転倒予防の考え方」という題目のお話でした。普段私たちが利用者さん、患者さんにお話ししている内容を科学的根拠に基づき論理付けているのです。高齢者の転倒の原因は下肢の筋力低下によるものが一つ考えられます。多くの指導者はウォーキングを推奨します。人間の筋肉には速い動きに作用する「速筋」と遅い動きに作用する「遅筋」があります。ウォーキングは「遅筋」が鍛えられるわけです。しかし転倒を予防する為に必要な筋肉は「速筋」なのです。では、「速筋」を鍛える為にはどのような運動が必要かというと、当センターで実施している大腿四頭筋訓練とスクワット訓練です。そして、転倒予防に大きく関わってくる筋肉に大腰筋が関わってきます。股関節周りの筋肉です。これらの筋肉が弱まると、歩幅が狭くなり擦り足になります。段差につまずきやすくなり、転倒の危険度が上がります。股関節周辺の筋肉強化がポイントになるわけです。余談ですが、膝から下の筋肉はそれほど影響が無いそうです。指導する上で大切なのは呼吸法です。フォームを指導することも大切ですが、フォームばかり気にするとなぜか呼吸が止まっていることが多いです。ですから、フォームはあまり気にせず声を出して運動すると良いでしょう。

(2004年4月5日)